前回、攻略法を研究した人が消えていく話をした。今回はその続きで、消える前に何を間違えたのかという話と、その間違いを煽った人たちの話をする。
仕事を辞めることのリスクを考えたか
YouTubeで収益化できるようになると、本業を辞めて全振りする人がいる。気持ちはわかる。月に相当な額が入ってくるなら、辛い仕事を続ける理由はないと感じるだろう。
ただ一つだけ聞きたい。
「明日アカウントが停止されたら、どうするつもりだったか」
収益化停止や垢BANはいつでも起きる。プラットフォームのルールは突然変わる。その時に備えて何か考えていたか。
本業を辞めた時点で無職扱いになる。ローンは通りにくくなる。再就職しようとしても空白期間が残る。「YouTuberやってました」は職歴として弱い。
YouTubeの収益が安定している間は見えなかったリスクが、止まった瞬間に全部顕在化する。
これは株と同じ構造だ。株の鉄則は「生活費でやるな、余剰資金でやれ」だ。YouTubeも同じで「余剰時間でやれ」が本来の鉄則のはずで、本業を辞めて全振りするのはハイリスクな一点集中投資に過ぎない。
しかもその投資先は、ルールをいつでも変えられる発行体だ。普通の株より条件が悪い。
ヘルプを読んでいたか、という話もある。量産型と判定されてから「なぜ停止になったかわからない」と言う人がいるが、ガイドラインはちゃんと公開されている。ルールを知らないことは免罪符にならない。新しいアカウントを作っても連鎖BANで詰むのは、理由を理解していないからだ。
全振りするな、とは言っていない。ただ「明日止まったらどうするか」を考えた上でやっているかどうか、という話だ。
夢を売る人たちの正体
YouTubeで稼ぐ方法を売っている人たちがいる。うん十万稼げる、月収◯◯万円も夢じゃない、というやつだ。
一つ疑問がある。
本当にそんなに稼げる方法があるなら、なぜ他人に教えるのか。バイトを一人雇って、その方法でやらせて、上がりだけもらう方が確実ではないか。
投資詐欺の「絶対儲かる話があるなら自分だけでやればいい」と全く同じ構造だ。
答えは単純で、情報を売ることが一番確実に稼げる方法だからだ。
しかもこういった情報商材の多くは、ちょっと当たった人が「成功方法」として売り始めたものだ。野球でホームランを打った人が「力いっぱい振るといいよ」とアドバイスするようなもので、その人がホームランを打てた本質的な理由ではなく、たまたまうまくいった時の表面的な行動を教えているに過ぎない。再現性はない。
失敗談が出てこないのは、失敗した人が黙って消えるからだ。情報商材を売れる立場になれるのは成功した人だけなので、生存者バイアスで成功例しか見えない構造になっている。
さらに「ジャンルの穴場」を教えます、という商材がある。穴場である理由は知っている人が少ないからだ。それを大勢に売った瞬間に穴場ではなくなる。同じ商材を買ったライバルが増えるだけだ。穴場を教えると言いながら、自分で穴場を埋めている。
結局のところ、一番楽な成功方法は「成功方法を売ること」だ。
自己責任という結論
ここまで書いてきて、結論はシンプルだ。
ブランドを作らずにテンプレート化した、攻略法を研究した、全振りのリスクを考えなかった、ガイドラインを読まなかった、夢を売る人の言葉を疑わなかった。
全部自分の判断だ。
プラットフォームのせいでも、AIの誤判定のせいでもない。構造的な問題はある。でもその構造の中でどう動くかを選んだのは自分だ。
次回は、そのプラットフォーム自身が品質を下げているという話をする。